コラム⑧ 「あるものを生かす」と「絞り込み戦略」
最近よく耳にする言葉に“経済安保”があります。
昨今の世界情勢を反映して使われているようです。
エネルギー関連から食料、その他の原材料まで世界は密接に繋がっています。
特に日本はエネルギーについてはほぼ100%海外に依存する状況です。
(LNG海外依存度97.7% 石炭海外依存度99.6% 原油海外依存度99.7%)
これまでも先人たちが一所懸命に安定して供給してもらえる輸入先を作ってきたのでしょうが、
ひとたびウクライナ侵攻のような非常事態が起こると一気に価格が高騰する状況です。
「自前で何とかならないのか?」と言っても、もともと資源の乏しい日本で全ての需要を賄う
代替エネルギーを作ることは無理な話です。
いわゆるベストミックスで一定期間凌ぎ、自然エネルギー等で電力需要が賄える時代まで維持
しなければなりません。
ロシア・中国の動きを見るにつけ思想信条、政治体制が近い国々と協力しながら進めていく
以外に方法はないと感じます。
願わくば(人道上の問題をクリアしてからになりますが)、考え方の違う国であっても共通項を
見い出し協力できる点があれば取引していけば良いと思います。
資源の取り合いで戦争を繰り返してきた過去を鑑み、知恵のある解決を図るべきでしょう。
お互いの抑止力の働いている状況で話し合い、出来るだけ平和裏に解決する。
現時点での最善はこれかなと感じます。
自分も含め直接政治に携わっていない人が出来ることは自分の価値観に近い政党に一票を
投じることになります。
一人ひとりが大切な権利と理解して投票に行く。投票率が上がることを祈念します。
さて、エネルギーについては自給率はほぼ無い状況ですが食料はどうでしょう?
2020年のカロリーベース食料自給率は37%だそうです。
1965年には73%あったものが55年かけて激減したようです。
自前で作るよりも必要なものは輸入した方が都合が良かったのでしょう。
農業政策も深く関係していたと思います。
結果として自給率が下がり、気候変動や紛争によるサプライチェーンの混乱が起こると価格高騰
の憂き目にあうという格好です。
ただ、エネルギーと違うのは量は減ったとはいえ自給率98%のコメがあるということです。
(ピークは1967年の1,445万トン。2022年生産量見通しは675万トン)
「あるものを生かす」という発想が必要だと感じます。
嗜好の変化、価格下落、農業競争力向上を目途とした交付金・助成金を用いた国の転作指導等、
残念ながら現状はあるもの(=コメ)を生かして長期的な視野で国の農業を考えるよりも対症療法
のような対策で凌ごうとしているように見えます。
色々な経緯・しがらみはあると思いますが、本気で「儲かる農業」に改善しないと農家さん自体も
ジリ貧でしょうし、食の安定供給も儘ならないと感じます。
こういう長年放置してきた複雑な利害関係のある問題こそ政治家が解決しなければならないと
感じます。
生産者、消費者双方に恩恵のある施策を考えて欲しいです。
「あるものを生かす」
当社に置き換えると一番の資源は社員になります。
営業会社ですのでヒトが唯一の資源になります。
希望する商品は一流メーカーから仕入れることができます。
一番肝心な「売 る」という行為は当社の場合ヒトしかできません。
ですから、労使双方が自分磨きをするために社員共育が重要になるわけです。
当社で言えば経営指針書に沿った仕事をすることになります。
運用していく中で唯一の資源であるヒト(=社員)に良かれと思い注意したことで本人のやる気を
削いでしまうこともあります。反対に「このくらいは見逃そう」と弱気になったばかりにお客様に迷惑
をかけたり、大きなトラブルになったりすることもあります。
何が正解なのか? 正直、心苦しい時もあります。
「智に働けば角が立つ、情に掉させば流される、意地を通せば窮屈だ」
今も昔も人間関係の道理は変わらないのでしょう。
ただ、“自分の役割を全うした上での全社一丸経営”、
“一人ひとりの素晴らしさを生かした全社一丸経営“
これを実現するためには経営指針が絶対的に必要です。
会社の理念・方針・計画から外れる行動は長い目で見れば必ずマイナスの成果になって
跳ね返ってくるわけですから信念をもって検証・改善しなければなりません。
それをするのが経営者の責任になります。
理念・方針を示し、社員の働く場を作り、自由闊達に意見交換し行動してもらう。
もちろん全ての責任は経営者が取る。
「責任取り屋」、「会社の安全網」 経営者にはその側面もあると感じます。
自分たちでどうしようもないことは他者の協力を得るなり建設的な第3案で対応し、
自分が持っている資源は最大限生かすことが重要だと感じます。
以前も書いたかもしれませんが、当社は「高密度経営推進企業」になることを標榜しています。
中小企業において“絞り込み戦略”こそが独自性を生むと信じて実践しています。
市場・取引先・顧客・商品/サービスを絞り密度の高い営業を実践する。
短時間で密度の高い仕事を目指し、質の向上を目指します。
以上
│更新日時:2022/07/20│